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「タイにおける代理出産事件」に関し、根津院長コラム

2014.08.25

「タイにおける代理出産事件」に関し、根津院長がコラム"ほーかい"にて述べました。
 命の尊厳を無視した生殖ビジネスがこれ以上まん延しないようにするためにも、国内にて公な代理出産のルールが議論され、生殖障害者を救う日本独自の道を是非とも国として作ってくださることを関係各位に切にお願いいたします。



「タイにおける代理出産事件」
根津八紘コラム"ほーかい"
(毎日新聞長野版2014年8月21日掲載)


オーストラリア人夫婦からの依頼を受けタイ人女性が代理出産を行い、その結果産まれた双胎の一児がダウン症であったためその子の引き取りを拒否したという「事件」が8月頭から報道され始めました。そうかと思うと、24歳の日本人男性が複数のタイ人女性に代理出産を依頼、短期間に十数人の子どもを誕生させるという、またもやショッキングなニュースが飛び込んで来ました。

いずれもが、タイ人女性が収入を得んがために外国からの依頼を受けて行われた代理出産であり、まさに経済格差を利用した生殖ビジネスが招いた事件であります。これ等が報道されるや、報道各社にて商業的代理出産の問題がクローズアップされることとなりました。

私は、子宮が先天的、後天的に欠損している「生殖障害者」である女性が、ボランティアの女性の助けを受けて、自分達夫婦の子どもを授かる扶助生殖医療を代理出産と定義し、当院のガイドラインのもと施行してまいりましたが、必要経費以外の金銭の介在はあってはならないものとしています。何故ならば、献血から始まり、臓器移植におけるごとく、人間の体に関することは全て売買されるべきではなく、相互扶助精神にのっとって成り立つべきものと考えているからです。

本来、子宮を欠損している生殖障害者の夫婦が子を授かる選択肢の一つであり、人間愛のもとおこなわれるべき代理出産がこれらの事件を受け一緒くたにされ、またもや「臭いものに蓋」的に国内で全面禁止といった流れになってしまうかも知れません。しかし、もしそうなれば、ますます海外の女性の子宮を金銭で買いあさるようなことが起き、今回のようなトラブルが発生、何よりも命が軽視されあたかもモノのように扱われ、大人の身勝手な都合で生まれて来た子ども達が不幸せな人生を送るようなことが多発することは火を見るよりも明らかでしょう。

私は、国内のことはまず国内で解決すべきだとの考えの下、日本における生殖障害者のために非配偶者間体外受精や代理出産を実施、問題提起をして参りました。命の尊厳を無視した生殖ビジネスがこれ以上まん延しないようにするためにも、今秋にも自民党より提出されるであろう生殖医療法案において公な代理出産のルールが議論され、生殖障害者を救う日本独自の道を是非とも国内に作ってくださることを関係各位に切にお願いする次第です。