当院の代理出産における特別養子縁組の成立のお知らせ
昨年5月に代理出産を終えた方々のお子さんの特別養子縁組が、約一年かけて成立し、依頼母の娘さん夫婦とお子さんが晴れて戸籍上も実の親子となることができました。当院の代理出産における特別養子縁組成立は2例目です。
代理母(依頼母の実母) 阿部陽子さん(仮名)
依頼母 飯島夏美さん(仮名)
依頼母の夫 飯島達也さん(仮名)
産まれたお子さん 海斗くん(仮名)
※ 以下(仮名)省略


海斗くんは、産まれてからずっと夏美さん夫婦の子として育てられていましたが、昭和37年の最高裁の判例によって「分娩者=母」と日本では考えられているため、出生後、阿部陽子さんの戸籍に入り、法的には阿部海斗として約1年過ごしました。
1歳の誕生日が過ぎ、自分の足で1人で歩けるようになったこの6月に、実のご両親との特別養子縁組が成立し、晴れて名実共に娘夫婦の子となり名前も飯島海斗となることができました。
●『代理出産で産まれた子供への望ましい親子関係』について
詳しくはこちらをご覧下さい。
以下、ご本人たちのコメントです。
【代理母の阿部陽子さん】
「出産が終わって、これで私の役目は終わった!と思ったのに終わりではありませんでした。この一年、海斗がはやく娘夫婦の子に法的にもなってほしいと本当に心から願っていました。産まれたときに娘達の実子として届け出が出せたら一番良かったのですけれど、現状では無理とのことで、やむを得ず私の子として出生届を出し戸籍に入れました。本当の親は娘夫婦ですから、なんとか早く特別養子縁組が成立してほしかった。彼らの子である事は間違いないのですから。この一年、私の身に何かあったら海斗はどうなってしまうのかというのが一番の心配でした。やっと肩の荷が下りました。やっとこれで私たちの代理出産が終わったと思います。」
【依頼母の飯島夏美さん】
この子は、母のお腹の中にいる時から私たち夫婦の子であることは、みんなが認めてくれていて、私たちもずっとそう思っていました。産まれてからは私と主人がずっと育てていますし、周りのみんなも私たち夫婦の子として当たり前にしてくれていました。役所など、手続きのために接した方々も、とても親切にしてくださって、本当に感謝しています。
ただ、なにかあったときに法的には私は姉でしかないので、親として守ってあげることができない不安感は常にどこかにありました。
また、検診など正式な書類の母親の欄に自分の名前を書けない、悲しさ、悔しさ、理不尽さ、などが辛かった。
だから私たちのあとの人たちが、そんな思いをする期間が少しでも減ってほしい。特別養子縁組がはやく成立してほしい、できれば産まれてすぐに実の子として届け出を出せるようになってほしいと、心から願っています。」
【飯島達也さん】
海斗が僕らの子、というのは間違いのない事実です。
お義母さんが産んでくれた、かけがえのない僕と妻の子だと思って僕はずっとこの一年を過ごしてきました。
誰が何と言おうと、海斗が僕らの大切な息子である事は、今までもこれからもかわりはありません。
法が今の時代に即していないのですから、これからの子どもの幸せのためにも一日も早く状況に応じた法を整えて頂ける事を望みます。
【根津院長】
私は、医療的に代理出産を行ない、お子さんを産ませてあげることはできてもそのあとの法的なところはどうしてさしあげることもできないので、立法府の方々、役所の方々にお願いをする事しかできませんでした。
代理出産に限らず、産まれてきた子が全て幸せになってほしいと願って、私は産婦人科医を続けてきました。
今回のように代理出産で産まれてきた子が、一日も早く法的にも安定した形で本当のご両親に守られて育っていく事を心から願っています。
そもそも国外で行われて来た代理出産の子供は、出産した国において依頼夫婦の実子として届けられているため、国内においてはそのまま依頼夫婦の子として法的に守られているのです。にもかかわらず、その事実が公にされたケース(向井亜紀さん御夫妻の場合)や、国内で代理出産にて出生した子供は、長期間の様々な手順を踏んでからやっと実子に近い扱いを受ける現在の法体制は、決して好ましいものとは言えません。
その上、50歳以上の女性が子供を産んだ場合、医師の出生証明書があるにもかかわらず、法務局の確認を要することは、国が産婦人科医を信じていないということと、女性が50歳過ぎて子供を生むことを否定することに等しいことになります。(高齢出産を奨励している訳ではありませんが)
いずれにしても、国の時代に即した、また子供の福祉を尊重する法の整備を速やかに行なって頂きたいと強く望みます。
●『代理出産で産まれた子供への望ましい親子関係』について
詳しくはこちらをご覧下さい。
●新たに代理出産でお子さんが産まれた二組のご家族のご報告
詳しくはこちらをご覧下さい。

