『代理出産で産まれた子供への望ましい親子関係』について
まず、娘夫婦の実子として出生届が出され、通常の出産と同様に戸籍に入るのがもっとも自然で望ましいと考えられます。
その理由としては以下の点が挙げられます。
・ 遺伝子的に娘夫婦の実子である。
・ 治療前提として娘夫婦の子であることを関係者全員が認識している。
・ 子の出生後も、娘夫婦の子として関係者全員が認識している。
・ 代理母夫妻が出産後の親権・育児放棄をしており、依頼母夫婦には治療当初より養育意思があり、現実的に子の養育をしている。
・ 子の福祉のために通常の出産と同様の安定した戸籍、親子関係がすみやかに必要。
現状では代理出産に関する法がないので、実の親子でありながら法的にも実の親子になるためには以下のような問題と手続きが必要となっています。
1) 分娩者=母の規定があるため、産んだ女性:代理母の子として役所に出生届をだす。
その際、代理母の年齢が50歳以上だと、法務局の出産の事実確認が必要になる。
事実確認には1〜3ヶ月ほど要する。
その間、産まれた子供は健康保険等には入ることができない。
出生届が受理され、代理母夫婦の戸籍に子が入ってはじめて日本国民としての権利と義務を有し、健康保険等の保証が得られる。
※ これは、虚偽の届け出を防ぐため。「母親が50歳以上の場合は、本当に本人が出産したのかという事実を確認した上で出生届を受理する」という1961年の法務省通達によるもの。今日のような、50歳以上の女性が出産できる状況は想定されていないため。
2) 家庭裁判所にいき、依頼母夫婦が子との特別養子縁組の申請をする。
3) 特別養子縁組の基準をみたしているか養育の状況などの調査を受ける。
4) 審判結果の通知が届き、その間、産みの親からの即時抗告がなければ審判確定となる。確定書の発行を依頼し、その後確定書を受け取って、特別養子縁組が成立、依頼夫婦の戸籍にはいり実子同等の立場になる。
以上1)~4)の手続き終了までには約一年ほどの長い期間を要します。
特別養子縁組は、本来代理出産のケースのことを想定しているものではないため、特別養子縁組によって親子関係を構築するのは、本来の意図とはずれるのですが、現ルールの中ではこれが代理出産を経て産まれた子供を実の子として入籍するための最善策となっています。
代理出産の親子関係に関しては、このような手続きではなく、出産以前になんらかの手続きを行い、出生後当事者の意思確認のもと、出生届の時点で依頼母が母親として子の出生届が出来るようになるべきです。
国内で代理出産で産まれてくる子どものために、一刻も早い、出生後すぐに本当の実の親子となれる法整備が必要と考えます。
☆ 『普通養子縁組と特別養子縁組』
養子縁組とは、親子関係のない者同士を、法律上親子関係があるものとすることです。養子縁組には、普通養子縁組(一般養子縁組)と特別養子縁組の2つがあります。
普通養子縁組とは、養子が実親との親子関係を存続したまま、養親との親子関係をつくるという二重の親子関係となる縁組のことをいいます。この場合における養子を普通養子といいます。
特別養子縁組とは、養子が戸籍上も実親との親子関係を断ち切り、養親が養子を実子と同じ扱いにする縁組のことをいいます。この場合における養子を特別養子といいます。
特別養子縁組の場合、法的な親子関係では、通常の親子関係同様となります。
また、適応のための制約が普通養子縁組より厳しい条件となります。

